目次
1、膝痛の原因~膝関節のねじれを正確に見る方法~
変形性膝関節症やO脚、その他、膝痛などの原因として、膝関節のねじれが大きな要因となることがあります。
この「膝のねじれ」について、よく語られるのが、大腿(股関節)が内旋し、下腿が外旋するという説。
ですが、30年間の臨床経験から言うと、必ずしも、こうしたパターンばかりではありません。
例えば、高齢の方は、大腿(股関節)は外旋し、さらに下腿も外旋している方が多く見られます。
病院等で、「変形性膝関節症」と診断される方に多いタイプです。
因みにですが、「大腿(股関節)が内旋し、下腿が外旋する」というパターンは、比較的若い世代の方に多く見られます。
ただし、ここがポイントでして、膝における大腿骨と脛骨の位置関係に着目した場合、
大腿は下腿に対して内旋していると言え、逆に、下腿は大腿に対して外旋しているとも言えます。
このように、膝における大腿骨と脛骨の位置関係だけを見て判断してしまうと、実際は、大腿(股関節)も外旋しているのに、内旋してると見誤ってしまうことがあります。
その結果、間違った方向に修正(施術やエクササイズ指導など)をしてしまう危険性があります。
このように、診断でも治療でも、局所だけを診るのではなく全体像を診ることが大事になってきます。
2、膝のねじれを引き起こすのは下肢の原因だけではない
膝のねじれを改善する際に、大腿や下腿の筋緊張緩和やエクササイズなどによる筋力強化を取り入れる方が多いかと思います。
もちろんこうしたアプローチは、必要なケースがほとんどです。
ですが、そもそも膝のねじれを引き起こしている原因は、下肢に留まるものではありません。
① 骨盤の前後傾が及ぼす下肢のねじれ
例えば、骨盤の前後傾が強くなることで、大腿(股関節)の内旋、外旋度は強くなります。
(※)これは、逆のケースもあります。つまり、大腿(股関節)の内旋、外旋度が強くなることで、骨盤の前後傾が強くなることもあります。
その結果、下腿に対する大腿の捻れ度合い、つまり膝の捻れも大きくなります。
骨盤後傾・股関節外旋・下腿外旋
変形性膝関節症や高齢者のO脚は、こちらのパターンが多く見られます
骨盤前傾・股関節内旋・下腿外旋
若い世代のO脚や膝痛の方に多く見られるパターンです
つまり、下肢だけにアプローチをしても、骨盤の前後傾のバランス調整ができていなければ、またすぐに骨格が崩れ、同じ症状を引きおこすことになります。
② 足部(距骨下関節)が及ぼす下肢のねじれ
また、足部・距骨下関節において、踵骨の倒れが大きくなることで、下腿のねじれも大きくなります。
その結果、膝の捻れ度合いも大きくなります。
このように、変形性膝関節症やO脚、その他の膝痛を改善するには、下肢へのアプローチだけでなく、骨盤の前後傾や距骨下関節の捻れ改善が必須となります。
3、変形性膝関節症と診断された患者様の改善例
① 症例1
病院で変形性膝関節症と診断された60代・女性の方の施術例です。
病院はもちろん、整骨院や整体院などで施術を受けるも、その時は楽になるが、症状を繰り返しておられました。
そこで、腰背部、下肢、足への筋肉、および関節へのアプローチとともに、負担がかかりにくい骨格作りを目的に、骨盤・O脚矯正法でアライメント調整を行いました。
その結果、今までになく、痛みの再発までに時間が伸びたとのこと。
3回目には、ほとんど膝痛を感じなくなったとのことでした。
② 症例2
こちらは、骨盤・O脚矯正のオンライン講座を受講頂きました先生から送って頂いたビフォアアフター写真です。
こちらのお客様は、病院にて変形性膝関節と診断され、左膝の痛みと臀部から足にかけて痛みや痺れがあるお客様でした。
それが施術後は、膝の痛みは軽減しO脚も大きく改善されました。
今ではすっかり良くなられたそうです。
4、まとめ
膝痛に限らず、腰痛や頭痛などの痛みに対する治療を行う場合、筋肉や関節へのアプローチをする治療家は多いと思います。
ただし、こうした治療だけでは、多くの場合、再発を繰り返すことになります。
これは、仕事やスポーツ、育児など、身体に負担のかかることをし続けている限り、仕方のないことです。
ですが、負担のかかりにくい体つくりをすることで、症状を出難くすることは可能です。
その点で、身体の要となる「骨盤」や土台となる「脚(足)」のアライメント調整は、非常に大きな役割を果たします。